急性胃腸炎になると熱・嘔吐・下痢を発症します。
嘔吐と下痢によって体から水分がどんどん失われていきます。
水分を取ろうにも気持ち悪くてなかなか飲めない状態になることも。
このままでは脱水症状になってしまう危険性もあります。
そこで点滴の出番です。点滴による治療効果はどうなのでしょうか?
詳しく解説していきます。
急性胃腸炎の治療で点滴の効果は?
急性胃腸炎で吐き気がひどい場合には、まともに食事をすることができません。
水分を飲むのでさえ辛く、薬をもらっても飲めない場合だってあります。
それに胃腸はウイルスを撃退するのにエネルギーを使っているので疲弊した状態です。
無理やり食べてしまうとますます胃腸に負担をかけてしまい、回復を遅らせる原因にもなります。
急性胃腸炎の治療方法で一番効果的なのは断食をすることです。
食事をしないことで胃腸の回復を早めるとともに、嘔吐や下痢の症状を抑えることができます。
でも、断食している状態では体に栄養が入ってこないので、胃腸は回復しても体力は落ちてしまいますよね。
そこで役に立つのが点滴です。
点滴は血管から栄養分や水分を直接補給するので胃腸に負担をかけることがありません。
それに点滴は口から取り込むよりも効果が早く現れるのです。
口から栄養分を取り入れた場合、胃腸で消化してから血液にのって全身に回るという過程が必要で、それだけ時間がかかってしまいます。
点滴だと直接血液中に入れるので消化の過程を省くことができます。
点滴は胃腸炎の回復を早めるメリットがある
先ほども述べましたが、今は胃腸が弱っている状態です。
食べ物だけじゃなく、飲み物も口から取り込めば胃腸へ負担をかけてしまいます。
何も胃に入れないことで、胃は細菌やウイルスと戦うことだけに集中してエネルギ―を使うことができます。
点滴は胃に余計な負担をかけないので胃腸炎の回復を早めてくれるというメリットもあります。
関連記事急性胃腸炎の食事はいつから再開できる?おすすめメニューを紹介急性胃腸炎に点滴の費用と時間について解説
病院で点滴をすると保険適用になるので費用は2,000円~3,000円で済みます。
料金には診察代など、すべて込み込みで帰りに受け付けで支払う金額です。
病院によって若干の差はありますので余裕をもって5,000円は持って行くとよいでしょう。
点滴の量は症状によって変わります。
軽症であれば500mlで済みますが、脱水の具合がひどかったり1~2日の間何も食べていなかった時は2,000mlの点滴をされることもあります。
点滴が終わるまでの時間は1時間~2時間かかります(これも量によって変わり、多い場合だと5時間近くかかります)
点滴は体に直接送り込むので、影響が出ないようにゆっくりと時間をかける必要があるんですね。
急激な速度で入れてしまうと吐き気を催したり、体がしびれたりすることがあるからです。
ですので、病院で点滴を受ける場合には時間に余裕を持って行くことをお勧めします。
基本的に点滴は日帰りが可能ですが、重症の場合は数日間の入院をしなければならないこともあります。
点滴を受けた後は「調子が良くなった」と多くの人が感じています。
ただ点滴には急性胃腸炎を治す力はありません。その成分を見ていきましょう。
急性胃腸炎の治療に点滴の種類を解説
点滴の種類は大きく分けて3つです。
- 口から食事をすることができない人へ栄養分を点滴
- 脱水症状が起きている人へ水分補給の点滴
- 痛みがひどい人へ抗生剤の点滴
急性胃腸炎の場合の点滴はほとんどの場合が2番の「水分補給」です。
嘔吐や下痢によって体から大量の水分が失われている状態なので、まずは水分を摂取することが欠かせません。
点滴は脱水状態になっている患者さんには非常に有効な方法ですからね。
脱水症状が進行していくと頭痛を引き起こすこともあります。
「口から飲もうと思っても吐き気が強すぎて飲むことが出来ない」という場合には栄養補給にも使います(詳しい成分は次章で説明しています)
腹痛など痛みがひどい場合には炎症を抑える抗生剤を一緒に点滴されることがあります。
関連記事急性胃腸炎の薬は副作用があるのか?種類もチェック!点滴の成分は何なの?何が入ってる?
点滴の成分はほとんどがブドウ糖と電解質で出来ています。
簡単に言うとポカリスウェットや経口補水液OS-1と同じです。
昔、とある病院で手術中に飲み物を用意し忘れたことがあったそうです。
喉が渇いたお医者さんが、しょうがないから近くの点滴を飲んでみたら意外とおいしかったんですって。
それがポカリスエットの開発につながったと言われています。
ポカリスエットを販売している大塚製薬は点滴を作っている会社としても有名なんですよ。
つまり点滴は体液に近いものであるということになります。
点滴では急性胃腸炎は治らない
急性胃腸炎はウイルスや細菌が原因です。
今の医学ではウイルスを治す薬はタミフル(インフルエンザにしか効かない)しかありません。
なぜかというと、急性胃腸炎は放っておいてもしばらくすると治るからです。
もちろん重症の場合は治療が必要ですが、多くの場合は体の免疫力によってウイルスを除去するので自然治癒が可能なんですね。
だから「あえて薬を作る必要が無い」と考えられているんです。
急性胃腸炎の場合、できるのは対症療法(現在起きている症状を緩和すること)だけです。
点滴の抗生剤は「痛みを抑える」ものであって、根本的な原因であるウイルスを退治することはできないのです。
まとめ
急性胃腸炎の時は点滴をしてもらうのが効果的です。
時間は1時間~2時間で、費用は2,000円~3,000円です。
点滴には胃腸炎を治す効果はありませんが、した人のほとんどが「調子が良くなった」と感じています。
悩んでいるのであればぜひ、点滴をしてもらいましょう。
※急性胃腸炎・感染性胃腸炎に関する記事はこちらにまとめています。